前四世紀アテーナイを素材に、中心市と郊外との関係とその動態を補足しようという試みである。手掛かりは口頭言語と書写言語の相剋である。中心市と郊外、双方に期待される役割、また双方が担ってきた役割が揺らぐ様子をプラトーン『パイドロス』に読み取ろうと努めた。その揺らぎが、中心市と郊外とを包含するポリスの在り方に変容をもたらし、ポリス(と)内外の神域に新たな局面を開く現場を実証的に跡づけようとしたもの。‘Reading Suburb: the Context of the Phaedrus’を拡充し、シンポジウム用に改編したもの。