「文学史と歴史叙述」
『古典古代史の近年の動向に対応したギリシャ・ローマ思想史ならびに文学史の書きかえ』(文部科学省科学研究費補助金採択課題、代表逸身喜一郎教授)59窶骭64
歴史叙述というジャンルの生成、展開を通観しつつ、かかる概観の手法と、学史の在り方との関係を考察し、以て新しい文学史の具体例を描き出す。歴史という見方、歴史の作法の上に営まれる現代社会が、歴史的に如何に新しく、その思考法が如何に特殊なものであるかという含みを持たせた試論である。中華文明、イスラム文明における「史」相当の思考法にも言及し、「歴史叙述」の名の下に、一括して議論する功罪を指摘した。