「ポリス=市民団 イデオロギー性の証明」
『地中海学研究』22(地中海学会)43窶骭63
古代ギリシア史の研究で「市民団イデオロギーcivic ideology」なる概念を避けて通ることはできない。その根幹は「ポリス=市民団」という古代人の考え方である。しかし、この命題が古代ギリシア社会の言説の一端、或いは言説の精髄であることを立証した研究はない。多く作業仮説として前提し、また同時に説明の手段に流用するばかりである。拙稿は前四世紀のアテーナイを例に、トートロジーを解消し、「市民団イデオロギー」を作業仮説、或いは説明概念として基礎づけた。ヴェーバーに基づく研究動向の再考を迫る。