［説明］
株式会社カクヤスの戦略形成過程と競争優位性について分析した。
当社は「町の酒屋」からスタートし、当初の低価格販売から、後にサービス戦略に転換することによって価格競争から離脱しながら業績を拡大することに成功した。
本稿によって明らかになったのは、この転換は計画的ではなく、顧客とのいわば「場当たり的な」コミュニケーションを通じて顧客の要望を吸い上げ、全社的に展開し実現させるという一連のサイクルによって徐々になされたという事実発見であり、さらにその結果、当社が顧客サービスを最優先に考える企業体質を確立してきたということである。その意味において、本稿は一種の創発的戦略を組織学習の文脈で分析している論考である。
なお、当社は流通論においては早くから注目されていた企業であったが、経営学分野では本稿の公刊時点では取り上げる研究は（確認できる限りでは）ほとんど存在しなかったため、本稿は経営学的に取り上げた論考ではほぼ初めてといえるものであり、多数回ダウンロードされている。（ジャーナルが公開しているDL数は、調査期間平成25年4月25日～平成28年7月25日において3,036回。なお、公刊時点から平成25年4月までのDL数は現在未公開。）
