学術論文

基本情報

氏名 大川 洋史
氏名(カナ) オオカワ ヒロフミ
氏名(英語) Okawa Hirofumi
所属 大学 ビジネス
職名 准教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

発行又は発表の年月

2005/03

学術論文名

新興企業の戦略形成過程と下位文化―酒販業K社を事例に―(査読付)

単著・共著の別

単著

発行雑誌等又は発表学会等の名称

修士論文

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終了ページ

概要

[説明]
本稿は、急成長企業K社をケースに、業務体験・インタビュー調査・質問票調査といった方法による多面的なアプローチを用いつつ、企業内の各部門における業務と、従業員の集団的性向との関連について検討した。
K社はカリスマ経営者の「顧客の利便性の提供」という全社的な方向性を得て急拡大しており、経営者も方向性と将来性の全社的浸透と徹底に労力を払っていたにも関わらず、質問票調査の結果からは「会社に対する期待」や「経営陣との一体感」に関して部門間に明らかな相違が、調査時点において既に生まれていたことが分かった。企業組織における従業員性向の部門間相違は、業務内容そのものが直接的な要因であり、全社的な方向性を実感しやすい部門では「会社に対する期待」や「経営陣との一体感」が高く、逆にそうでない部門ほど低いという結果を得た。また、経営者のカリスマ性や世間からの注目やマスコミ等による評価・位置づけ、第三者による研修といったものも、業務遂行においてそれらに触れる機会が乏しい場合には、一時的な効果しか持たないことが明らかになった。
本稿の意義は、社内における「ベクトル合わせ」に対する分業の逆機能の一側面を明らかにした点、さらに、外部からの「ベクトル合わせ」への影響力は限定的である一方で業務内容による影響は強力であることを明らかにした点にある。これを別の観点から評価すれば、組織における個人の機能的側面の一つに「共通目的の受諾」すなわち「ベクトル合わせ」があると考えれば、この促進は組織における個人の機能(たとえば役割)を介して行われなければならないことを示唆しているといえる。