金融機関の破綻処理における NCWO 原則について:欧州 (BRRD) の事例を中心に
Kyoritsu business & economics review
第2巻
世界的な金融危機の経験を踏まえて公表された金融機関の破綻処理に関する国際的な枠組みには、当局が破綻処理を実行する際に、仮に清算されていれば株主、債権者が受け取っていたと考えられる金額との差額を補償するNCWO原則が導入されている。欧州におけるNCWO導入の背景に、より基本的な権利である財産権への対応という側面があるのであれば、比較対象を予め「清算」に限定するのではなく、「破綻処理されなければ行き着いたと考えられる結果」と幅広く比較することが望ましい。