「1954年マニラアジア大会と“外地”生まれの選手たち―連続性の視座にみる日本のアジア復帰」

『共立国際研究』

第42号

1951年にインド・ニューデリーで開催された第1回アジア競技大会に続き、1954年にフィリピン・マニラで第2回大会が行われた。アジア大会は戦前と戦後の連続性と断絶性を考察する上で重要な位置を占め、日本のアジア復帰の象徴でもあった。そのなかで、旧「外地」出身の日本人選手の存在は、戦前と戦後をつなぐ象徴的な存在であった。とりわけ、1954年のマニラ大会は、日比賠償交渉が難航する中で開催され、日本のアジア復帰にとって象徴的な意義を持っていたことからも、本稿では同大会に出場した“外地”生まれの選手たちおよび戦後日本における戦争の記憶に着目しつつ、新たな視座からの歴史像を提示した。