⑴DFM(Design for Manufacturing)の観点から、デザイン段階と製品設計・工程設計の連携調整はどのように行われているか、⑵社内デザインと社外デザインによってその連携調整にどのような違いがあるのか、の2点をアパレル製品における複数事例比較調査から明らかにした。結果、(1)デザイン段階と設計段階の連携調整の必要性はデザインの新規性に依存し、(a)新規性が低く経験値の高い製品は連携調整の必要性が低く、(b)新規性が高く経験値の低い製品は連携調整の必要性が高いことが明らかとなった。(2)社内デザインは、①社内の他部門との連携調整能力が高く、②企業特殊な知識(自社の生産能力や過去プロジェクトから得た知識)を保有しているため、事前に問題解決し、問題が発生すると即時に他部門との連携調整を行い、DFMを実施することができる。社外デザインは、問題発見が遅れ、問題に対する提案が流され、設計段階への情報が制限されていることで設計段階からの提案が行われないことがある。このような特性から、(a)の製品に関しては、顧客とより近い社外デザインの方がターゲットニーズ・流行を捉えた製品を開発できる可能性があること、(b)の製品に関して、連携調整がよりしやすい社内デザインの方が適していることが示唆された。