胃瘻のある高齢者の死亡前1年間の身体徴候と胃瘻の使用状況を明らかにするために、訪問看護師を対象に、調査時点から過去1年間に死亡した胃瘻保有高齢者に関する質問紙調査を行った。分析対象は156名(男性70名、女性86名)、死亡時年齢81.6歳、造設後1年以内の死亡が36.6%であった。自宅死亡者54名の死亡1年前に認められた身体徴候は平均3.8個で、死亡1週間前には5.4個に増えた。死亡前1年間の栄養摂取方法の組み合わせは12通りで、最も多いのは胃瘻のみの使用であるが、胃瘻と経口摂取の併用や死亡数日前に注入を中止するタイプ、胃瘻と点滴の変更を繰り返すタイプもあった。死亡1年前の注入・点滴量は1200ml/日以上が、死亡直前では800~1200ml/日が最も多く、死亡直前の注入・点滴量の少ない群に浮腫と四肢冷感の割合が高く、有意差を認めた。以上より、高齢終末期における適正な胃瘻造設と管理に関するガイドラインの必要性が示唆された。