日本語の構文的特徴として、「主題―解説」という構造がある。主題提示機能を持つ助詞として代表的なものは、「は」であるが、それ以外にも助詞や助詞を含む複合形式が主題提示機能を有している。本稿では、話しことばに見られる引用形式「って」について、本来の引用機能からどのような用法の広がりを見せて主題提示用法を持つに至ったかを具体例を用いながら分析している。「って」は引用形式から派生したものであるため、話し手自身が「よく知らないもの」として主題を提示するという性質を持っていることを明らかにした。1頁-20頁