エリザベス・コッブス(1956-)のTHE HELLO GIRLS: America’s First Women Soldiers の日本語訳の書評。本書は、労働史、女性運動史、ジェンダー史における女性電話交換手「ハロー・ガールズ」の位置付けを詳細に解説している。コッブスの著書は、第一次世界大戦の女性交換手の戦時貢献だけでなく、その中の一人、マール・イーガンの「退役軍人」としての権利を求める戦いを追うことによって、電話の出現というIT革命が女性に与えた影響の裾野の広さを読者の前に展開する。それは女性の労働、参政権獲得運動、軍事化に関わり、新しい分野に踏み込む女性たちの試みと困惑、性別役割の変化に抵抗する勢力との粘り強い交渉の軌跡を示す。