教育方法の実践例

基本情報

氏名 橋川 俊樹
氏名(カナ) ハシカワ トシキ
氏名(英語) Hashikawa Toshiki
所属 大学 国際
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

年月日(開始~終了)

2000/04 ~ 2009/03

事項

国語科教育法における〈実際的な授業方法〉の例示

概要

共立女子大学国際文化学部国際文化学科の教職科目「国語科教育法II」においては、あくまでも「実際の授業」を受講者(すなわち四年次の教育実習予定者)に意識させることを重視している。「実際の授業」といっても、そこにはいくつもの要素がある。第一に、授業が行われる〈学校〉という場の特徴や性質がある。現実に〈実習〉と称する、本物の「授業」を自らが行う場合には、一般論的な注意事項などは何の役にもたたない。建物としての〈学校〉も、教師も、生徒も、地域や規模、レベルなどによって千差万別である。実習校が決定した時から、その学校に関する情報を集め、下準備をし、きちんとした心構えを持つことが重要である。第二に、「国語」という教科が他の教科とは違った側面を持つことをよく理解していなければならない。国語は、どんな教材を扱うかによって授業方法がまるで違う教科である。大きくいえば、評論・随筆の類、小説・詩などの文学作品、古典や漢文、の三つに分けられるが、それぞれの進め方や授業目標は大きく異なる。また、読む・書く・発言するという行為を、適宜、生徒に課す必要があり、それらのバランスがどうあればいいかは、おそらく教師ひとりひとり違っているといっていい。最後に、「授業」でいちばん重要なのは教科書の内容であるが、その内容だけを細かに説明できても生徒にはもの足りなく感じられるのが「国語」の特徴である。教科書の記述そのものは、多くの場合、量が足りない。文庫や新書の本一冊くらいをまるごと扱えればいいが、そんな余裕を教科書は持っていない。ということは、教科書の内容を補足するような、知識やエピソードを教師側が提供しなければならない、ということになる。教科書全体にわたって補足できるような教師は、現実的には少ない。しかし、教師側にも適不適、好悪があって、得意なもの、好きなものを教えている時には、関連した知識やエピソードが出てきやすいものである。つまり、国語の教師になろうとする者は、なるべく多くの知識や教養を蓄え、多くの教材に対応できる能力と感性を身につけておく必要がある。「授業」そのものを事前にできる限りシミュレートしておくこと、「国語」という科目や教材の特徴をよく把握しておくこと、そしてそれ以前に豊富な知識や教養を身につける能力と感性を磨いておくこと、これらがひとつになって「実際の授業」となるのが理想である、と教えている。