本研究では、人類の進化、共同体、社会の仮想化を整理した上で、現実世界と仮想世界の双方における衣服について論じる。人類進化の過程で、生存戦略として孤独への恐怖と回避が植え付けられたと考えられる。衣服の社会的・心理的機能は、コミュニケーションや生活を円滑にする上で重要な役割を果たしている。貨幣経済や現在のICTがもたらした仮想化は、私たちに身体性を超越する能力を与え、現実世界だけでなく仮想世界でも生活することにつながっている。ここでは衣服を現実世界と仮想世界の両方で心と体を表す媒体と捉え、多角的に考察する。(古川 貴雄,南 みのり,山中 美樹子,秋葉 まゆ,甲斐 咲帆)