本研究では,ファッション分野において想定されるAI応用とファッション系AI研究の発展過程を整理し,今後のファッション産業および被服教育の方向性について論じた.まず、ファッション分野におけるAI利用のユースケースを参考に,具体的な事例を検討してファッション産業への具体的な影響を整理した.次に,2010年以降のコンピュータビジョン研究に注目し,文献調査から研究の発展する過程と,その原動力となった要因を明らかにした.さらに,GANを使用した手法を中心に,ファッション分野への応用を想定した生成AI研究について,文献調査から研究の発展する過程を明らかにした.結果として、ファッション分野全体では、ビジネスを支える部分で大規模言語モデルの影響が大きいことが確認された.Deep Learningの発展を背景に,2014年以降にデータ駆動型コンピュータビジョンがファッションに応用されるようになりデザインスケッチについてはAIが代替する可能性が高いものの,パターンメーキングのAI化には課題が残ることを示した.(甲斐 咲帆, 古川 貴雄, 安 星奈, 森 薫)