本研究では、日本の3~5歳の幼児の手をつなぐ行動に見られる仲間関係の発達的変化を明らかにすることを目的とした。先行研究では、手つなぎは単なる身体接触の一部として扱われたり(塚崎・無藤, 2004)、手のつなぎ方について実験的な検討がされたりしてきた(柴田,2007)が遊びなどの自然な文脈では十分な検討がなされていなかった。本研究では、アフォーダンス理論に基づく「身体知」(無藤, 1997)の考えに依拠し、保育園の同一クラスの子どもたちを3年間追跡した。ビデオ観察で得られたエピソードを質的に分析した結果、手つなぎ行動は3,4歳児と5歳児では違いが見られた。3,4歳児の手つなぎ行動は、他児へアプローチ、遊び仲間としての承諾、さらには手をつながない他児の排除・拒否等を意味していた。それに対し、5歳児の手つなぎ行動は複数の親和的な身体接触に伴って見られた。これらの背景には、仲間関係が安定性が関与していることが示唆された。得られた知見は保育における子どもの関係構築のために重要となることが示された。