これまで、小学校入学後の保護者の期待や不安について検討を行ってきた。それらの知見を踏まえ、コロナ禍とそれ以前のデータを比較することで、コロナ禍における期待や不安の様相を明らかにすることを目的とする。対象は小学校1年生の児童を持つ親であり、入学後間もない5月に質問紙調査を実施した。その結果、小学校生活に対する不安はコロナ禍のほうが高く、親自身の生活の変化への期待はコロナ禍のほうが低いことが示された。これまでは学校公開/参観で見ることのできた我が子の学校での様子、先生や友達の雰囲気などをどう感じてもらうか、先の見通しが立たず、期待が持ちにくい今、親自身が「小学生の親」になる喜びや意義を見出せるようにするにはどうしたらよいかなどの課題が示されたといえる。(西坂小百合・綾野鈴子・村上康子・権藤桂子)