本研究の目的は、小学校への移行期の親の期待や不安などの意識を幼稚園と保育所によって比較することで、その特徴の違いを描き出し、適切な援助につなげることにある。就学前の幼児をもつ保護者を対象に質問紙調査を実施した。その結果、「子どもの様子がわからなくなる不安」は、幼稚園・保育所による特徴的な違いは示されず、第1子の母親において不安が高いことが示された。「小学生の親になる自信」は幼稚園の母親のほうが保育所の母親よりも得点が高く、また親となることによる成長・発達の高さとも関連することが示された。「自分自身の生活の変化への期待」は幼稚園の母親でかつ第2子以降のグループにおいて得点の高さが顕著であった。それぞれの違いを理解し、就学前・就学後の適切な援助を見出すことが確認された。(西坂小百合・綾野鈴子・村上康子・権藤桂子)