近年都心部では保育施設の需要が高まっており、未就学 児童の中でも特に 3 歳未満における待機児童問題は喫緊 の課題となっている。こうした需要に対応するべく、保 育形態も多様化し、認可保育所以外の保育施設が拡充している。しかしながら、それら施設の整備実態や保育環 境については十分に検証されておらず、保育の空間計画を担う建築の分野においても、乳幼児や施設スタッフの 為の室内環境・施設周辺環境のあり方についての調査研究は僅かである。また、多くの時間を過ごす場所であり ながら、保育施設には学校でいう環境衛生基準のような 具体的な規制がなく、近年増設傾向にある駅前や ビル併設型保育施設では特に環境の悪化が懸念される。 そこで本研究では、施設環境の中でも空気環境に焦点をあて、都市部を対象としたアンケート調査結果から、施 設環境及び設備の現況を把握し、本報では良好な保育室 内空気環境を保つことにつなげるための課題を考察する。