目的 近年、美術館などの展示施設の急激な成長とともに、展示空間以外の空間も注目を浴びてきている。これらの空間は、作品と触れ合った感動をじっくりと温めたり、美術にまつわる知識を深めたりできる、創造的で生き生きとした場であるとともに、誰かと待ち合わせたり、展覧会を見終えた後に休憩できる場でもある。本研究は、日本と中国の美術館の外部空間とロビーにおける人の行動と心理について研究するものである。
方法
文献調査においては、東京都内の美術館に絞り、設計者、構造、規模等を分析する。現地調査においては、外部空間の境界、構造、展示、緑、水、舗石、出入り口の数、型、立面の高低差について調査する。内部空間においては、天井、壁、床の仕上げ、照明計画等を調査する。更に、休憩エリアとしての場所、椅子、テーブル、パーティションのタイプ、配置形態について調査する。アンケート調査においては、現地にいる被験者に対して、広さ、ソファーの数、座りやすさ、温冷感、街路の眺め、デザイン、自由度、落ち着き、解放感を調査する。中国美術館調査においても、東京の調査と同様の調査を行う。
結果 以上の調査より、東京都内の美術館の外部空間とロビーにおける現状を把握でき、更に空間の違いによる心理状態の変化を把握することができた。また、日本と中国の美術館の違い、利用者の意識の違いなどを把握することができた。