近年東京では地下鉄が発展し、地下通路を利用して、地上の目的地または目的付近まで行くことが可能である。しかし、地下道は地上に比べ単調な景色でつまらなく、地上で同じ目的地に向かうよりも先が長いと感じることがある。地上では街路樹などの植栽が豊かであったり、ビルや店舗などの変化が見られる景観、また自然光や風を感じられると、地下空間を歩行するよりもあっという間に時間が過ぎると感じる。それに比べ、地下空間でいくら進んでも変化の見られない無機質な景観が続いたり、地下ならではの薄暗く冷たさを感じるような場合は、まだ着かないのかと時間の経過を遅く感じる。この時間の経過に対する差異に関して、どのような要因が影響するのか疑問を感じる。以上のことから、地上と地下で場を構成する要因により感じるイメージをアンケートにより調査、また時間の長さ(感覚時間)がどのように異なるか実験を行い、研究を進め検証していく。また、8月には景観調査の一環として、韓国ソウル市にある清渓川の調査を行った。後半に清渓川調査の結果も追記する。結果として、感覚時間は、環境要因を含めた人の心理を総合的に捉えて場所を評価する、新しい評価指標となりうることが分かった。従来の画一的な評価方法では図れない部分、特に人間の心理的な部分を更に詳しく見る事が出来る。元来の評価指標と組み合わせて使用する事で、より良い環境が提案出来ることを期待したい。