一連の研究で、人間の持つ時間の感覚を提案してきたが、いずれも直立した状態における実験であった。本研究では、歩行している時の感覚時間の変化を探るため、歩行空間において一定距離を歩行させて実験を行った。本研究は、どのような環境要因が、物理的には同じ長さの時間を長く評価させたり短く評価させたりするのか、あるいはどのような要因が時間評価にゆらぎをもたらすのか。様々な景観との影響の中でどう変化するのかを探ろうとしたものである。その結果、自然が多い場所、安らぎや快適さが感じられる環境、好ましい景観であればイメージ評価が良く、時間を短く感じ、居心地の悪い空間、早く立ち去りたい景観であれば、時間を長く感じた。この結果は直立して行った先行研究とほぼ同様であり、歩行しても感覚時間が場所と人との交感作用を計測する尺度となることが示された。pp.101-108
本人担当部分:全部、共著者は指導のみ
共著者:田村明弘