本論文では、人と場の関わりを評価する新たな手法として、人間の持つ時間の感覚を提案する。本研究の目的は、高次で非特異な感覚である感覚時間に着目し、様々な場で人が感じる時間の長さが、人と場との関わりの適否を判断する指標となりうるかを考察するものである。本論文の結果より、本研究で総合評価の新たな手法として提案した「感覚時間」実験においては、自己の感情状態、場所のイメージが良ければ感覚時間を短く感じ、逆では長く感じるという結果が表れた。また、感覚時間は人の心理状態によって、また場の状況によって変化するが、それらの単なる線形結合によるものではなく、人と場の関わりの適否が影響することが示唆された。
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