在宅において認知症療養者(以下、要介護者)の介護者の介護を始めてから心身の状態及び生活について、介護者の受けとめを認知症高齢者の日常生活自立度（以下、認知症自立度）の程度との関連から明らかにした。居宅介護サービスを利用する要介護者の介護者対象として、ケアマネジャーによる聞き取り調査を実施した。調査内容は、介護者が介護を始めてからの主観的な健康状態、精神状態、経済状況の変化、介護から離れる時間の確保、介護の継続意思、Zarit介護負担尺度の日本語短縮版、介護者の基本的属性と要介護者の基本的属性等であった。分析は、要介護者の認知症自立度を4群に分類した説明変数とし、介護期間、介護を始めてからの介護者自身の心身の状態及び生活の受けとめ、介護負担感を従属変数として、Kruskal-Wallis検定を実施した。
その結果、認知症の要介護者の介護者の主観的な身体的・精神的健康感と認知症の程度との関連はなかった。しかし、介護を始めてからの介護者自身の心身の状態及び生活の受けとめは、認知症の程度が重度になるほど、身体的・精神的・経済的に余裕がなくなり、介護のために自分を犠牲にしていると感じる傾向にあることが示唆された。
担当：データ分析
共同発表：末田千恵、河原智江
