博士論文「カナダにおける国家統合―1920年代の地域主義とマッケンジー・キング自由党政権」
東京大学総合文化研究科 地域文化研究専攻
20世紀初頭のカナダでは、地域間格差を背景に地域主義政党が台頭し、既存の二大政党制や政治制度に変更を求める声が生じた。しかし、同時期に国内利益の多元化に伴う政治的な変化を経たヨーロッパやオーストラリアとは異なり、カナダでは1926 年までに第三党が勢力を失い、既存の政治システムへの回帰が起こった。その理由を、当時の自由党少数政権による、地域利害の妥協的な調整に注目し明らかにした。