「総督の権限とカナダ連邦政治―1926年キングービング事件と進歩党を中心に」
『共立国際研究』
第36号
民族的にも地域的にも高度に多元的な利益を抱えるカナダにおいて、比例代表制のような、政治に反映させる国内利益の規模を最大化する仕組みが採られる蓋然性は歴史的に存在しなかったのかを問いとした。この問題を検討する上で、既存の政治制度の有用性に異論を生み出した地域主義政党、すなわち進歩党が出現した1920年代前半の連邦政治に注目し、とりわけ、非公選制の総督の政治的判断が及んだキング-ビング事件と進歩党との関係を検討した。