本稿は、児童養護施設における暴力へ対応するための実践を通して、人材育成としての機能について検討し、施設職員の支援技術の向上や組織としての効果的な対応について明らかにすることを目的とする。
児童養護施設における暴力を、子ども間の暴力、職員から子どもへの暴力、子どもから職員への暴力の3種類に分け、それぞれの暴力への対応方法や技術の効果的な視点を検討し、人材育成として活用できる視点を論じている。
また、児童養護施設における暴力への対処法略を実践することで、働く職員自身が安全を感じられることや、その価値観を入所児童への支援と広げていく効果があると考えられる。児童養護施設の人材育成は、職人としての実践技術を継承するものではなく、専門職としてエビデンスに基づいた知識や技術の習得を図り、実践していくことが求められる。