「「総てが教育的」な学校建築とアジールのジレンマ――震災復興小学校における新教育思想の検証を通じて」(招待有)
『新教育運動期における学校の『アジール』をめぐる教師の技法に関する比較史的研究』日本学術振興会科学研究費補助金研究報告書(研究代表:山名淳、課題番号23531005) pp. 79-91
新教育とアジールの関係について日本を事例とした考察を行った。復興小学校は「総てが教育的」な学校建築という理念で建設され、そこに新教育的な学校観が見出せる。一方、私立新学校からは厳しい批判がなされ、具現化した建築も対照的であった。そこで両者の学校建築観を「家庭」と「自然」の二つの鍵概念を補助線として比較し、異同を確認した。その結果、学校空間とアジールの関係には、外部社会から保護、および教育的まなざしからの逃避という二重性があり、それは子どもの保護と統制をめぐるジレンマを示していた。