「1964年東京オリンピックをめぐる道徳教育の課題とその論理――国民的教育運動における公衆道徳と「日本人の美徳」」(査読付)
『研究室紀要』東京大学大学院教育学研究科基礎教育学研究室
第42号
本稿では、東京の都市環境、文部省の政策・学習指導要領・指導案、森戸辰男の道徳論を分析することで、東京五輪が特設道徳の動向と並行しながら道徳教育を推進する契機となったことを明らかにした。「挙国一致」で進められた五輪教育運動では、日本における公衆道徳の低さを「恥」としがらも、“普遍的”な道徳と標榜された教育勅語を拠り所として、失われた「日本人の誇り」と「美徳」を取り戻そうとした。