木彫表現における鑿跡などのテクスチャーに焦点を当て、制作者としての視点から、その意義について研究を行ったものである。日本近代を代表する彫刻家高村光太郎(1883~1956)とドイツの現代作家シュテファン・バルケンホール(1957~)、この2人の作家の木彫作品を取り上げ、そのテクスチャーの成り立ちと効果を論考し、得られた結果をふまえ、自身の制作において実践を行っている。論考を踏まえて制作した木彫作品「赤い上着の男」は学内審査で最高賞を受賞し、また第86回国展彫刻部において国画賞(一般最高賞)を受賞した。