埼玉大学教育学部美術教育講座の選択授業「空間デザイン」で非常勤講師として通年講義と演習を担当。前期は生活空間の重要エレメントとしての椅子の実制作を行う。まず既存家具のリサーチで市場を学び、制作する椅子が置かれる空間イメージと使用目的を絞る能力を養う。各自アイデアスケッチと1/5模型での検討を重ね、構造体として無理なく無駄のないデザインにしていく。その後実寸の制作図を作成し、後に合板を使い工房にて実制作。家具作りの一連の流れを実体験することで素材の特性の理解を深めると共に、意匠と機能と構造のバランス感覚を養う。
後期は各自が作った家具を校内のギャラリーにて展示発表会を行う。個別に作った作品群をひとつの展示作品として第3者にプレゼンテーションする共同作業を体験する。話し合いから展示コンセプトとタイトルを定め、テーマに沿った展示にするため各自役割分担をし、企画・プランニング・コーディネイト・材料調達・現場施工・撤去の一連の作業を行う事により、テンポラリーな空間構成の流れを実体験で学ぶ。広報も担当し、学内のみならず地域社会に対しても展示を広く公開した。
個の作業とチームの作業とを1年を通して実体験することで、計画性を養い、細部から環境まで奥行きのある思考を身につける学習。学生に好評で、他学科の学生の履修も見られた。