長野県旧山口村(現岐阜県中津川市)からの受託研究として、旧中山道木曽馬籠宿の集落調査を行なった。調査は実測を基本とし、集落、民家を図面化することでその生活の実態を明らかにした。山間部に縫うようにつくられた宿場町である馬籠宿はその地形的特徴を生かした建築の空間構成をしており、それらを図面表現により明らかにした。馬籠宿は観光によるところも多く、時を止めたような保存を求めるのではなく、時代の変化に合わせた伝統的建築の活用方法をとっている。それらの調査を基になっているのが「フィールド博物館構想」で、石畳の整備などの修景や各拠点となる施設の計画、建築をつくっていくものである。著者は同「構想」にもとづく拠点の一つ、陣馬公衆トイレを設計した。旧中山道フィールド博物館構想による拠点施設づくりについては「建築設計資料集成39公衆トイレ-まちづくりの視点から-」P134〜P153に掲載されている。
参照:D1