自律型ロボットの社会実装に向けて、これまでに様々なガイドラインが作成されてきたが、これらのガイドラインをどのように活用するかが課題となっている。本研究では、そのようなガイドラインを評価する基準として、「正統性」の概念を用いている。正当性の観点から、自律型ロボットの社会実装に必要な条件を取り上げると、社会的受容性、道徳的正当性、将来の期待などが憲法や法律の観点から考えられる。同時に、この論文では、精緻化可能性モデルの十分条件として、資源、反省、専門知識、認識、結果が必要であると考えている。事例として、日本政府の倫理への取り組みを検証することで、道徳的な正当性の必要性と、適切な成果を得るための倫理に関する専門的な視点からのリソースやアドバイスの必要性を抽出した。また、本稿の貢献は、検討のための必要十分条件を正統性の観点から検討しなければならないという検討プロセスを提示したことである。