独占禁止法違反に関する情報を収集する方法には、職権による摘発、一般市民からの通報、リニエンシー制度の利用など、いくつかの方法がある。リニエンシー制度の利用改善や、分析手法によるデータの利用改善による職権による摘発手法の洗練化については、これまで多くの議論がなされてきた。しかし、公表の改善についてはあまり検討されてこなかった。本研究では、談合に関する情報を提供する一般国民は68.8%、カルテルに関する情報を提供する一般国民は49.6%であること、情報を提供しない理由は「成功する見込みがない」こと、つまり、強力な企業に対する無力感であり、次いで「責任感の欠如」であることを確認した。したがって、この認識に対処することが、一般国民からの情報提供を増やすための鍵となる。