本書『新女大学』は、福澤諭吉(1835-1901)が『女大学評』と共に1899年・明治32年11月に出した啓蒙書であり、今般その英語訳と共に復刻出版されたものである。
ここでの「女大学」は江戸時代中期以降広く普及した女子教訓書を指し、同名の書が多数存在するが、貝原益軒(1630-1714)が著した「和俗童子訓」巻五の「教女子法」をもとに書かれたものとされる。儒教思想に基づき、封建社会における家族制度の維持をうたう教育本であり、明治中期以降にはこの「女大学」と教育勅語とを結びつけた教科書が公刊され、これらは第2次世界大戦終了時まで使用されたとされる。
福澤諭吉は自らの「女大学評論」においてこの「女大学」の教義一つ一つに対して歯に衣着せぬ反論を展開する。そしてこの「女大学評論」に続いて記されたものが本書「新女大学」である。だが、福澤諭吉は「女大学」に対する批判を本書出版の前から精力的に述べており、例えば本書発刊の25年前の「学問のすすめ」の第8編「わが心をもって他人の身を制すべからず」(1874年・明治7年)において女大学の不合理を痛烈に批判し、男女同権論を展開している。
本書において福澤諭吉は女性が経済・ビジネスについて学ぶことを強く推奨しており、ゼミナール等における本書の活用によりその推奨の理由を理解するとともに、英語で表現するスキルの習得を目指す。