税金費用を削減する税負担削減行動は,企業価値向上につながるため,企業が積極的に採用すべき経営戦略の一つだと考えられる.一方,税負担削減行動は一般的に企業イメージを低下させてしまう可能性があることを考えると,コーポレート・レピュテーションを維持したいインセンティブを持つ企業は,税負担削減行動と関連させてCSR活動を経営戦略として採用する可能性が考えられる.本論文では,経営戦略としての税負担削減行動とCSR活動の関連性の理論分析を踏まえ,税負担削減行動がCSR活動を誘発するという,経営戦略の関連性を実証的に明らかにすることを目的とする.
本論文の実証分析により得られた研究結果は,税負担削減行動に積極的に取り組む企業ほど,CSR活動が誘発されてCSR活動に積極的に取り組む傾向にある,ということである.企業は税負担削減行動と関連させてCSR活動を経営戦略として採用する可能性が示唆され,税負担削減行動とCSR活動の関連性が,本論文の結論として導き出された.