固定資産の会計の基本的問題として、近時に至るまで減価償却費、資本的支出・収益的支出、減損等に主として焦点が合わせられ、特に不動産の売却に限定して検討されることは少なかったといえる.しかし今日の不動産取引の多様化に伴い、わが国の会計基準委員会は、平成16年2月に「不動産の売却に係る会計処理に関する論点の整理」を公表した.本論文では、不動産売却損益の認識に関して、論点の整理について、その理論的前提である「リスク経済価値アプローチ」と「事業投資リスクからの解放アプローチ」に焦点をあて検討したものである。