1897年、伊藤博文や福沢諭吉の援助を受けて頭本元貞(1863〜1943年)によって設立された『ジャパンタイムズ』(The Japan Times)は、日本および日本の近代化に関する西洋側の認識形成において非常に重要な役割を担った。『ジャパンタイムズ』は、日本の近代化政策が西洋文明の枠組みに合致するのだということを示し、日本が列強、とりわけ英国に接近する上で重要な役割を果たした。そして、それは日本による朝鮮植民地化などの対外膨張政策を支えることになったのである。 本稿では、『ジャパンタイムズ』記事の具体的な分析を通して、同紙における日本の近代性に関する描写がどのように日英両国の接近に貢献し、対外膨張政策を正当化したのかを解明する。