これまでに、抗炎症作用を有する精油を含む保湿剤開発を目的とし、18種類の精油の抗炎症能と抗酸化能について、ヒト由来角化細胞株(Hacat細胞)のアッセイ系を用いて検証した。アッセイ系については、過去に報告しているが、HaCaTをサイトカイン(TNF-αとIFN-γ)で処理することにより、血清中の濃度がアトピーの重症度と相関を示すケモカインであるTARCの分泌が増加する。これをin vitro アトピーモデルとした。サイトカインで処理する際に、精油を添加しておくことで、TARCの分泌が抑制された場合、その精油が抗炎症効果を有すると判定した。本学会では、最も抗炎症能が確認できた精油のシナジー効果について報告した。混合に検証した精油は、パチュリ、カモマイル・ジャーマン、イモーテル、カモマイル・ローマン、ラベンダーの5種類で、そのうち、「イモーテルとカモマイル・ローマン」「カモマイル・ジャーマンとラベンダー」の組み合わせで抗炎症効果が見られた。