「近代女性書簡文口語体化の契機と過程」
『論究日本近代語』(日本近代語研究会編)勉誠出版
第2集
明治30年頃から大正10年頃までの女性書簡文を対象に、旧文体から、洗練された「口頭語的口語文体J に至るまでの軌跡を示した。本論前半では旧文体、とりわけ候文体からの脱却の要因を、先行研究の観点に書簡文の 「待遇性」という観点を加え、検討した。後半では成熟に至るまでの口語文として、漢字がちの例、旧文体の名残のある例、欧文脈の取り入れが不慣れな例などが見られることを示した。