修士論文の内容を改訂し報告を行なった。⑴DFM(Design for Manufacturing)の観点から、デザイン段階と製品設計・工程設計の連携調整はどのように行われているか、⑵社内デザインと社外デザインによってその連携調整にどのような違いがあるのか、の2点をアパレル製品における複数事例比較調査から明らかにした。
社内デザインの場合、デザイン開発段階からデザイナーと他部門が連携し問題の事前解決・事後解決を行っていた一方、社外デザインの場合は問題の事後解決のみ行われていた。製品デザインの新規性と生産可能性にはトレードオフの関係性が観察され、このトレードオフはデザイナーが生産に関する知識・企業特殊な知識(生産能力に関する知識・過去のプロジェクトに関する知識)を保有し、製品開発初期から部門間連携を行うことで解決することが可能である。社内デザインの場合はこの条件を満たすことが可能であるためトレードオフを解消し新規性と生産性を実現することができるが、社外デザインの場合は生産に関する知識・企業特殊な知識を保有しないこと、他部門との直接のコミュニケーションラインを持たないことからトレードオフの解消が困難であることが明らかとなった。