Stephen Breyer(現在アメリカ合衆国の連邦最高裁判事)がアメリカ連邦政府の有害化学物質対策を批判した文献に対する書評。Breyerは、環境中に微量に存在する発ガン物質等について、一般市民は専門家が考えるよりも過大に健康リスクを評価する傾向があり、世論に弱い政治家が迎合して、環境対策予算の配分が歪められていると批判。裁判所は環境リスク等に関する十分な専門知識を有しないので、環境リスク管理を専門とするエリート官僚団を成すべきとBreyerは提言。これについて評者は、環境リスクの大小に見合った対策の必要性については支持しつつ、我が国と比較して官僚のステータスが低く政治家が強いアメリカの政治文化を反映した書と評価。 p.503-p.505