アメリカ合衆国の2016年選挙における連邦議会選挙(特に連邦上院選)の得票データを、同時に行われた大統領選挙におけるトランプ旋風と関連付けて分析した。2016年選挙の大きな特色は、2008年頃からみられる白人の非大学卒労働者の民主党離れが加速したことである。本論では、トランプが選挙戦でターゲットとした中西部の産業労働者だけでなく、非大学卒の白人が多い農村部の民主党離れが、大統領選および連邦上院選における共和党の勝利に寄与したことを強調した。主要激戦州の都市圏別得票データの推移の分析から、州ごとに農村地域票の貢献度に差がみられることなどを、大統領選と上院選のデータを比較して論じた。