論文の冒頭で2008年大統領選挙・連邦議会選挙における民主党の勝利を概観。次いで大統領選挙における民主党オバマの勝因を出口調査から考察。広く指摘されている若者およびマイノリティー有権者の高い支持率および後者の投票率上昇だけでなく、オバマは共和党の支持基盤である高所得者層からの得票を大幅に増やしたという、他ではあまり指摘されていない勝因を明らかにした。さらに注目の激戦州であったヴァージニア州およびコロラド州における得票数を郡単位で分析し、出口調査にみられた高所得層のオバマ支持増大を裏付けた。両州での得票数の変化を郡単位で地図上に棒グラフ化したのは、選挙の勝因を視覚的に分かりやすく伝える、今までに見られない試みだと言える。そして空前のネット献金による選挙戦術の革新や有権者にチェンジを訴える一貫したメッセージを、選挙戦術面での勝因として強調した。
p.41-62。