ルネサンスの「風景画」
イタリア言語・文化研究会(早稲田大学)
西欧で風景画が独立したジャンルとして成立したのは16世紀、ルネサンスの時代といわれる。それには当時の古代文学の影響により、「風景だけで成り立つ絵」という概念が形成されたことが大きかったとされている。しかしそれと同時に、造形的なモデルの存在も大きな影響を持ったはずである。16世紀の風景表現の造形的な系譜を遡ってみると、14世紀中頃まで辿ることができる。風景画はここから始まり、アルプスの南と北に分かれてそれぞれに発展し、16世紀のジャンルとしての風景画の成立を準備したと思われる。