1914年のロベルト・ロンギの論文以来、ピエロ・デッラ・フランチェスカはヴェネツィアにおけるルネサンス様式の絵画の発展に大きな影響を与えたという見解が多くの研究者に共有されてきた。しかし、作品や資料を詳しく検討すればそうではないことが明らかになる。とりわけ祭壇画形式においてピエロ・デッラ・フランチェスカの『ブレラ祭壇画』とジョヴァンニ・ベッリーニの『サンザニポーロ祭壇画』等に見られる類似は表面的なもので、本質的な点で異なることを詳細な作品分析によって明らかにした。そしてピエロ・デッラ・フランチェスカの祭壇画形式がドメニコ・ヴェネツィアーノ、フラ・アンジェリコら、ピエロが若い頃に影響を受けたフィレンツェの画家に負っていることを明らかにした。