ピエロ・デッラ・フランチェスカの『聖十字架伝』
早稲田大学大学院文学研究科紀要 別冊』第12集pp.163-177
ピエロ・デッラ・フランチェスカの代表作であるアレッツォ、サン・フランチェスコ聖堂の『聖十字架伝』壁画は1452年と66年の間に位置づけられているが、実際の制作年は明かでなく、左右の壁面の制作順序もところから、壁画の様式を細部にわたって詳細に分析することによって相対的な年代と制作順序を明らかにしようと試みた。一部の研究者が主張するように左右別々に描かれたのではなく、左右同時に制作されたこと、1458-59年に記録されているローマ滞在による中断があることを指摘した。