「日本の大学の中国語学習者は、かなりきれいな発音ができ、正確な文が作られるようになっても、実際の場面では、単純なコミュニケ―シュンさえもできない」ということに気になっている。その原因はコミュニケ―シュン重視の中国語教育が行われていないためであろう。「言語がコミュニケ―シュンの道具であり、外国語教育の目的が、コミュニケーション能力の育成にある」という観点から「初級中国語」と「中級中国語」の授業において、以下のように工夫をした。1.無理なく学習できる最小範囲の文法を整理し、会話文例に出た表現をマスターしていく。例:自己紹介、買物、友達に電話する、中国に行って出会ったなどの場面を設定し、初級段階から中国語を話す楽しさを知ってもらう。2.耳の練習を重ね、耳から覚えることによって、コミュニケ―シュンの力をつけていく。例:教室用語など、出来るだけ中国語を使い、入門段階から自然な中国語に対応できるようになってもらう。3.試験に「話す」、「聞く」を課す。例:前期の最終授業に一年生には、一人ずつピンインを正確に読んでもらい、また、授業中に鑑賞したビデオ教材を参考にして、二人ずつ決まった話題について会話をしてもらう。2年生には、学んだ表現を再確認のため、ヒアリングを課す。