部会Gの第一報告「イギリスの21世紀的治安危機と女性警察官―ロンドン同時爆破事件からオリンピックに向けて」では、この時期を特徴づける2005年7月の同時多発テロ、また移民やマイノリティによる暴動を振り返り、後に首都警察本部長に就任したクレシダ・ディックの活躍とメディア表象を取り上げ、イギリスにおける女性警察官の歴史をブラウン・モデルに照らし合わせ検討した。女性警察官比率は1970年代以降着実に上昇し、首都警察本部長の誕生により「ガラスの天井」は克服されたかに見えるが、女性の昇進に対する男性的な組織文化に根差した抵抗は継続していた。ディックの活躍は多様性の象徴として評価される一方、緊縮財政や治安悪化という高リスク状況で責任を負わされた点で「ガラスの崖」に置かれたとも解釈できる。