イギリスの少女雑誌『ガールズ・オウン・ペーパー』(Girl’s Own Paper 1880創刊、以下GOPと記す)は第二次世界大戦下、戦時活動に貢献する若い女性たちを「輝く女性」として表象した媒体の一つである。この時代の娯楽雑誌では短編や連載小説は重要なコンテンツであった。GOPの戦時活動への姿勢は掲載される小説にも反映された。一連の制服姿の表紙が始まった1940年10月号に連載を開始した『女性空軍補助隊のウォーラルズ』(Worrals of the W.A.A.F.'s )は1941年9月まで続いた。その後、シリーズ化し、戦後も継続した。主人公、ジョーン・ウォーラルソン(Joan Worralson 通称Worrals)は、1939年に結成された空軍の後方支援を行う女性部隊(Women’s Auxiliary Air Force、以下WAAF)に所属している。本稿ではGOP掲載の「ウォーラルズ」シリーズを追うことによって、戦争が女性向けの冒険小説にどのような影響を与えたか、そこで航空のイメージがどう使われたか、またそれらが戦後どのように変化するのかについて考察。