『ブライズデイル・ロマンス』試論-ホーソーン、カヴァデイル、読者の三重奏-
『メトロポリタン』第30号(東京都立大学英文学会大学院部会)
「信頼できない語り手」の典型とされているカヴァデイルの分析を通して、「物語の虚構性」に重きを置くアメリカ文学のロマンス型式を強く意識する作家ホーソーンの物語作法を考察した。「虚構と現実の間にある中間地帯」をロマンスと定義したホーソーンにとって、語り手の信用のおけなさこそがその「中間地帯」を体現するものであり、と同時に、読者の積極的な読みを求める回路を開くものであることを論じた。掲載頁pp.213-229